「衝動買いは、理性が足りなくて情けないのではなく、脳に元気を与えたとポジティブに捉えましょう」
これは、脳科学者の柿木隆介さんが書かれた本の中の一文です。
欲しかったものを思い切って買う行為には快感が伴われ、この時、脳では幸福ホルモンであるドーパミンが出ているそうです。ですから、衝動買いは脳にとって栄養ドリンク的役割を果たしているということなのです。
一方、買い物中毒は経済観念のない買い物を続けることで、ギャンブル同様に脳内麻薬が分泌され、買うことの快感が忘れられなくなってしまうそうです。
衝動買いなのか、買い物中毒なのかを見極めるにはどうすれば良いかというと、「何かのご褒美や、ストレスによる自分への活力」として欲しかったものを思い切って買うのは、脳科学的には問題ないそうです。
さて私!先日、衝動買いを致しました。
須賀家の菩提寺でお墓参りを済ませた後に時より訪れる谷中の「いせ辰」でのことです。
「いせ辰」は江戸末期、1864年創業の千代紙・おもちゃ絵の版元です。
私は、朗読台本の表紙に「いせ辰」の千代紙をあしらうのが好きで、作品の雰囲気に合うものを選んでいる時間は心を弾ませてくれます。
今回は、自分のオリジナル小説の次回作のテーマが決まりましたので、表紙選びに訪れました。
お店の方とのやりとりも楽しいのです。
「実はまだ書き始めてもいないのですが、この女性のことを小説に書きたいので、イメージに合った千代紙を探しているのです」
「まぁそうですか、その女性でしたら……こんなのは如何でしょう」
「あぁ良いですね。これから小説を書く意欲が湧いてきそうです」
こんな会話がやりとりされている時、店内の商品を手に取って見ていた夫が、お宝を見つけたのです。それは、「歌舞伎十八番」の演目を一枚の千代紙に表した版画でした。
「いせ辰」の千代紙は、絵師、彫り師、摺り師という三工程の職人の手を経て出来上がるものなのです。私の大好きな浮世絵と同じです。
「歌舞伎十八番」には、Mako’s話し方サロンで教材として使用している「外郎売」も入っています。ですから生徒さんたちにも見てもらいたいなぁという思いが湧いてきました。
私は時々、買い物をするときに、「出会い」という言葉を使って自分自身を納得させます。
「これは、またとない出会いだから大切にしなくては!この出会いを逃したら絶対に後悔する」
そうやって購入した物の中には、大切な出会いではなかったのかもしれないと後になって感じる物もありましたが、大半は大切な出会いでした。
「いせ辰」での今回の「出会い」は、夫も背中を押してくれたので、大切にすることにしました。
私の脳は幸福ホルモン・ドーパミンで満たされていたのでしょう。
家に持ち帰り額に収めると、「歌舞伎十八番」の中の歴代の市川団十郎さんに見守られているようで、心が落ち着きます。本当に有難い出会いでした。
メッセージ、お待ちしております。
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