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執筆者の写真須賀雅子

㉚「ハワイ島での出会い」

 4年前ハワイ島を訪れた際、素敵な女性と出会いました。

ハワイ島のコナ地区には、日本からの移民家族の家を保存し、当時の生活を紹介している施設があります。そこでボランティア活動をしているのが千葉県出身のE子さんでした。

彼女は、コナコーヒーが世界三大コーヒーになった陰には日本人移民の苦労があったことを話してくれたのです。

6畳ほどの居間で手作りの仏壇や富士山の絵を見ていると、そこで生活していた「日本人」の家族の会話が聞こえてきそうでした。

ガイドブックに載っていたというだけで、気楽な気持ちで足を踏み入れたのですが、いつしか私は心を掴まれてしまいました。

E子さんは私の質問攻めに優しく対応してくれました。

「ここで暮らしていた人たちが、思いを寄せてくださり喜んでいらっしゃいますよ。私にはそれが強く感じられるんです」

日本人移民の生き様を後世の人々に伝えてゆくことは、E子さんにとって大きなやりがいとなっているようでした。

E子さんは見学者に習字の体験レッスンもしています。

アメリカ本土からの観光客のご婦人と私の息子が、並んで正座し筆を持つ姿は楽しい思い出となりました。E子さんの持つ筆からは優しい心の文字が生み出されていました。実に達筆でした。 

 私にはハワイ島で素敵な女性との出会いがありましたが、もうひとつ出会いがあったのです。それはコナ空港で購入したお土産用のコナコーヒーの木でした。

片手に収まるような小さな苗でしたが、みるみるうちに大きく成長してゆきました。そして今年の春、枝の上に蕾らしきものが姿を出したのです。

私の心の中には、真っ白な小さな花がたくさん咲き出しました。

コナではその様子が、コーヒーの木の枝に雪が降り積もっているようだということで「コナスノー」と言われています。

しかし私のコーヒーの木の蕾は次々に枯れてゆき、たった一輪、小さな花が咲いただけでした。その小さな白さは実に儚いものでした。

ハワイ島のE子さんに我が家のコーヒーの木の花の写真をお見せしたいと願っていたのですが……。

 新型コロナへの不安が広がってきた頃ですので、コーヒーの木も不安な状況になってしまったのでしょうか。

残念な内容になってしまいましたが、コーヒーの木の様子と私たち家族の近況をE子さんにメールで伝えました。

 ハワイ島からの返信メールには、7月4日の独立記念日以降、コロナ感染者が増え続け、オアフ島が再びロックダウンになったこと、そしてE子さんが活動している施設も観光客あっての場所なので、いつ再開できるのか分からないことなど、辛い状況が記されていました。

しかし、E子さんが最後に伝えてくれた言葉が、私の心の支えになりました。

「この時間をなんとか無駄にしないよう努めていきたいと思います。

いつの日か!また自由に世界中を行き来できるようになる時を楽しみに!」

 来年は!我が家のコーヒーの木にたくさんの花が咲いてくれることでしょう。

日々成長し、新しい葉が天井に届きそうな姿に元気づけてもらっています。


メッセージ、お待ちしております。

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